「測定器制御を始めたいが何から手を付ければ良いのか分からない…」という方を対象に、ゼロからでも測定器制御が始めれるように説明をしていきたいと思います。
測定器制御を始めたいけど何から手を付けて良いのか分からないという方のために一から丁寧に説明をしていきたいと思いますのでどうかご安心ください!
第1弾はパソコンの環境構築についてになります。恐らくパソコンの環境構築で最も困るのが、オフライン環境での構築方法ではないでしょうか。
通常ネットワークに繋がっていればまったく困らない事も、オフラインの場合は思わぬトラブルが出てきます。
今回はオフラインで環境を構築することを想定した手順で説明を進めていきます。
準備するもの
パソコン
- オフライン環境のパソコン(測定器制御用のパソコン)
- 数量:1台
- 必要スペックとしては指定はありませんが、Windows11をストレス無く動かせる程度のスペックがあると安心です。
- オフライン環境パソコンのため、Windowsバージョンは何でもOKです。
このブログではWindows11での手順を紹介をしていきます。
- オンライン環境のパソコン(ソフトウェアをインストールするためのパソコン)
- 数量:1台
- オンライン環境パソコンはインターネットに接続出来るものであれば指定は特にありません。
- この記事でオンライン環境パソコンを指す場合は、その旨を記述するようにします。
パソコン周辺機器
- LANケーブル
- 数量:必要本数分
- パソコンと測定器を接続するために必要となります。
- GPIBやUSB等、LANケーブル以外にも様々な接続方法はありますが、このブログではLAN接続を用いた手順を紹介をしていきます。
- スイッチングハブ
- 数量:必要台数分
- 複数の測定器と接続する場合は必要となりますが、1台のみの場合は無くても問題はありません。
- USBメモリ
- 数量:1台
- オンライン環境からオフライン環境のパソコンにソフトウェア等のデータを移すために必要となります。
- Windowsのバージョンによっては、OSデータ(5.8GB程度)を保存する必要があります。8.0GB以上の容量の多いものが望ましいです。
ソフトウェア類
- Micorsoft Excel
- 数量:1アカウント
- パソコン購入時にはデフォルトで入っていることが多く、測定結果のデータ整理にもよく用いられるため、今回はExcel VBAを用いたプログラムを作っていきます。
Excelのバージョンによっては、測定器制御が出来ないものがあります。
必ず下記の記事を参考に事前に確認をお願いします。
測定器制御パソコンの環境構築の手順
.NET Framework 3.5のインストールを行う
急に聞き覚えの無い単語が出てきて戸惑いますが、.NET FrameworkとはMicorsoft社が開発したアプリケーション開発・実行環境となります。
Windows10より前のバージョンではデフォルトでインストールがされていたのですが、セキュリティの関係から最近のOSからは削除されています。任意でWindows Updateよりインストールが可能となっています。
これが無いと、次項で紹介する測定器を制御するためのソフトウェアをインストールが出来ないため、必須のアプリケーションです。オフライン環境の場合はここが中々に苦戦するポイントかと思います。
Windows10以降でパソコンを構築している人は、下記の記事を参考にインストールを進めてください。
IOライブラリのインストールを行う
測定器制御に必要なライブラリ類をインストールしていきます。
様々な測定器メーカが独自のIOライブラリを配布していますが、今回はKeysightのIOライブラリを用いて環境を構築します。
IOライブラリのインストールについては、下記の記事を参考にインストールを進めてください。
IPアドレスの設定を行う
任意のIPアドレスを設定をしましょう。ここでは例として、下記の通り設定をします。
設定したIPアドレスは何処かに記録しておきましょう。後ほど必要となります。
IPアドレス:192.168.0.100
サブネットマスク:255.255.255.0
IPアドレスの設定で分からないことがあれば、下記の記事を参考にしてみてください。
すべてのセキュリティを解除する
まず前提として、測定器制御を実施する場合は基本的にはオフラインでの制御を推奨します。
その理由としては測定器の搭載しているOSはサービスを終了しているケースが殆どであり、セキュリティに多くの脆弱性を抱えています。
その前提を踏まえて、オフライン環境だからこそ出来る荒業ですが、パソコンのセキュリティを全てOFFにしていきます。
何故そんなことをするかというと、測定器とパソコン間でアクセス許可、ファイルの共有等をそれぞれ個別で行うにはそれなりの労力が必要です。
どうせオフラインで使うなら個別に設定していくよりは、すべてまとめてOFFとした方が手っ取り早く楽ですからね!
この設定によって測定器制御用のパソコンを完全に無防備な状態にしてしまうため、間違ってもオンラインへの接続をしないようにしましょう。
パソコンのセキュリティ解除方法は、下記の記事を参考にして進めてください。
フォルダ共有化の設定を行う
本来、測定器でデータを取得した後、データを分析・評価するためには、USB等で測定器からデータを吸い出しパソコン等へ移す等の作業が必要です。これらの手動でやっていた作業が自動で出来たならば…
データ分析及びデータの評価を高速かつ自動的にできるのは測定器制御の大きなメリットの1つでもあります。
それを実現するためには、パソコンと測定器間での共有化設定が必須となります。
フォルダの共有化設定はこちらの記事を参考に進めてください。
Excel VBAの環境構築について
プログラムを記述するための環境作りとなります。
実はMicrosoft Excelには、Excel VBAと呼ばれるExcelのアプリケーション機能を、拡張することができるプログラミング言語がデフォルトで搭載されています。
Excel VBAの環境構築についてはこちらの記事を参考に進めてください。
最後に
長い環境構築、本当にお疲れさまでした!
【ゼロから始める測定器制御】のシリーズ第1弾としてパソコンの環境構築を紹介させて頂きました。
シリーズ第2弾では測定器側での設定を紹介しています。
是非最後まで進めて頂き、測定器の手動操作から解放されましょう!